47都道府県の介護保険データで検証した結果 ── 海外の先行研究は日本で再現されなかった
2024年のYouらの国際比較研究では寒冷国ほど認知症発症率が高いと報告されたが、日本の47都道府県データでは気温と要介護認定率に有意な相関は認められなかった(r=+0.08, p=0.62)。むしろ暖かい関西圏(大阪・京都・和歌山)が認定率トップ3を独占。一方、飲酒量と重度認定率(要介護3-5)には有意な正の相関が確認された(r=+0.35, p=0.017)。
寒さ→飲酒の経路係数は+0.21とやや正の方向だが、気温→認定率の全体効果自体がほぼゼロ(β=-0.10)のため、媒介分析としては前提が成立しない。飲酒量は気温とは独立に重度認定率と関連している可能性がある。
国際比較は40℃超のレンジ。日本国内は14℃(札幌9℃〜那覇23℃)。効果を検出するにはレンジが狭すぎる可能性。
日本は国民皆保険制度で医療アクセスが均質。途上国と先進国を含む国際比較では医療格差が交絡する。
関西圏は介護サービス利用率が全国的に高い。認定率の差は「認知症の多さ」ではなく「申請文化の差」を反映している可能性。